今回の事例は、技術的なことよりも「事前準備」の重要性についてです。
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質問内容【撮影時間が長くかかってしまいます。慣れなどもあるとは思いますが、効率の良い撮影方法を知りたいです】
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作業効率を高めるというのは、photo-zemi(フォトゼミ)の大きなテーマのひとつです。
「如何にして短時間で、臨む効果が得られそうな商品写真を撮影するか」、これは、「より美しく完成度の高い写真を撮る」ことよりも、photo-zemi(フォトゼミ)の中では、はるかに優先順位が高いのです。
(純粋な職業写真家の写真観とは異なっていると思います。客観論ではなく主観論であると、その点をお含みおき下さい。)
そうして商品撮影を考えてきた中で、撮影時間が長く掛かってしまう理由としては、次の要素が考えられると思います。
1.必要とされるカメラの操作に慣れていない
2.必要な道具がわからない、または、その使い方がわからない(背景、三脚、レフ板など)
3.撮影用照明の効果的な使い方がわかっていない
4.しっかりと段取りしてから撮影するのではなく、いきなり本番の撮影を始めてしまう
5.どんな写真にすべきかが、イメージできていない
1~3は、学習することと慣れることが必要で、徐々にスピードアップできるようにするしかありません。
4は、写真撮影だけでなく、様々な作業の効率アップのために大切な考え方だと思っています。
例えば料理撮影で、できあがった料理をいきなり並べて撮影を始めたら、配置や構図、さらにはカメラ位置や照明の位置など、あらゆる要素で迷ってばかりいて、スムースに進行できるはずはありません。
調理してもらっている間に、器だけを借りてテスト撮影しながらあらかじめ配置を考え、そこに印をつけておくなどは当然です。
カメラの位置や操作の確認、照明の位置についても同様です。
ともかく、本番の前に、どれだけ段取りができているかが重要です。
実際にやってみることができなくても、頭の中でイメージするだけでも、作業時間に違いが出るはずだと考えています。
そして、最も作業効率に影響するのが、5だと思うのです。
「どんな写真にすべきかが、イメージできていない」という状態は、作業効率を考えたときだけでなく、商用写真では致命的とさえ言いたいくらいです。
・どんな写真にすべきかがイメージできていたら、あらかじめ、必要とされるカメラの設定や操作を調べることができ、その方法を確認できる
・どんな写真にすべきかがイメージできていたら、あらかじめ、必要な道具を調べて、準備できる
・どんな写真にすべきかがイメージできていたら、あらかじめ、撮影用照明等のセッティングを調べられ、現場での作業がスムースに進行できる
・どんな写真にすべきかがイメージできていたら、あらかじめ、必要とされる段取りを、事前に想定しておくことができる
つまり、「どんな写真にすべきか」がイメージできていることで、事前に準備できることが増え、現場で試行錯誤することが圧倒的に少なくなって、撮影が効率的に行えることに直結するのです。
また、「どんな写真にすべきか」がイメージできれば、WEBの画像検索で参考になる写真を探したり、その写真を撮影するために必要となる、より具体的な情報を収集することも可能になります。
そうして準備しておいてから、本番の撮影作業に入ることで、その場での実質的・緊急的な対応を最小限に抑えることができ、時間短縮に結び付けることができるのだと思います。
撮影作業は、テクニカルな要素が大きいと思われがちですが、その他の様々な業務と同様に、「段取り」こそが重要なのではないでしょうか。
実際に撮影に取り掛かる前に、「何のための写真なのか」「どんな写真にすべきなのか」、できるだけ具体的にイメージする習慣をつけておくことで、スピードアップだけでなく、結果にも結び付けやすくなるのだと思います。
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デジカメで撮るにせよ、スマホで撮るにせよ、撮影テクニックに関しては、ネット上でも様々な情報が発信されています。
では、どの情報を採用するのが良いのか、これは、撮影者が求める結果次第です。
「何のための写真なのか」「どんな写真にすべきなのか」、この点を明確にしておくことが、撮影作業の、本当のスタートなのだと思います。
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