商品写真撮影に役立つ(ことがあるかもしれない)フィルターのはなし…その1「NDフィルター」

商品写真の撮影では、必要とされることは少ないですが、知っていると、いざというときに役に立つかもしれない、レンズに着ける「フィルター」についてです。


まずは「NDフィルター(Neutral Density/ニュートラルデンシティー/減光)」です。


乱暴に言うと、レンズに着ける“サングラス”のようなもので、カメラの中に入る光の量を減らす(減光する)ための道具です。


「NDフィルター」を必要とする主なケースは、「シャッター速度」を遅くしたい場合です。


ひとつ写真を見てください。

これは、公園の中にある小さな滝を撮ったものです。

シャッター速度を、“20秒”に設定して撮りました。

カメラのシャッターを、20秒間、開きっぱなしにして撮影したということになります。

(屋外での撮影なら、普通は、数十分の1秒~数百分の1秒くらいのシャッター速度で、写真撮影をしています。)


同じ滝を、シャッター速度を遅くせずに撮影したのが下の写真です。

日の当たり方や、その場所の明るさにもよりますが、おそらく、何も調整せずにオートで撮影すると、上のような写り方になると思います。


シャッター速度を極端に遅く(シャッターを開いていいる時間を長く)することで、流れ落ちる水を、幻想的に写すことができます。

川や滝など、動きのある「水」を撮るときには、必須のテクニックとして知られています。

このとき問題になるのが、明るさ(カメラの中に取り入れる光の量)なのです。


少々天気が悪くても、あるいは、森や林の中などでも、日中は十分な明るさがあります。

そんな場所で、シャッター速度を、数十分の1秒とかではなく、“10秒”や“20秒”などと遅くすると、カメラの中に取り込む光の量が多過ぎて、写真はほぼ真っ白になってしまうか、シャッターボタンそのものが押せずに撮影することすらできない、という結果になります。


明るい場所でありながら、シャッター速度を遅くしたい、そんなときに使うのが「NDフィルター」です。


カメラ(レンズ)にサングラスを着けて、カメラの中に入る光を減らして、明るく写り過ぎないようにするのです。


もう一度ご覧ください。

この写真は、「NDフィルター」を3枚重ねて撮影しました。

「NDフィルター」を着けずに撮る場合と比べると、カメラの中に取り込む光の量は、1/28程度まで減っています。

そうしなければ、明るい日中に、“20秒”なんて遅いシャッター速度では、撮影できないのです。


参考までに、シャッター速度を早くした場合の、滝の写り方は、こんな感じです。

シャッター速度が速くなるほど、動きが感じづらい写真になってしまうのです。(動きの速いものを、ピタっと止めて写したいときには、シャッター速度を速くします。)


さて、ここからが、photo-zemi(フォトゼミ)的、「NDフィルター」の使いみちです。


商品写真撮影セミナーで、こんなご質問、というかご相談をいただくことがときどきあります。


「店舗(あるいは会社)の外観を撮りたいけれど、人や車が写ってしまって、どうしていいのかわからない」


厳密に言えば、“商品写真撮影”ではありませんが、店舗や会社の外観の写真は、商品写真を撮影するのと同じように、必要としている方が少なくないと思います。


そして、この問題、「NDフィルター」を使えば、解決とはいかないかもしれませんが、改善することができるかもしれないのです。


下の写真は、一目瞭然、踏切を写したものです。多くの人や、車が写っています。

できるだけ、多くの人が写るように、踏切の遮断機が上がるのを待って、撮影しました。


では、次の写真。

いかがでしょうか。

この写真も、上の写真と同じ条件、遮断機が上がるのを待って撮影したものです。が、人も車も写っていません。


「上の写真と同じ条件」と書きましたが、実はひとつだけ違っています。そう!「シャッター速度」です。


人が写っていない写真は、「シャッター速度」を“20秒”に設定して撮ったのです。

(普通の街中なら、5~10秒程度で、人や車が写らなくなると思います。)


シャッター速度が遅くなると、動いているものは写真に(ほとんど)写らないのです。

(よく見ると、人や車が通っているところが、少しぼんやりとしていますが。)


これなら、人や車が写ることなく、店舗や会社の外観を撮影することができるかもしれません。

少なくとも、普通に撮影するより、相当、好結果になることが期待できます。


ただし、日中、極端に遅いシャッター速度で撮影するのは、ただ設定を調整するだけでは不可能です。明るくなり過ぎて真っ白な写真になるか、シャッターボタンが押せずに撮影することすらできないでしょう。

そこで、「NDフィルター」なのです。


「NDフィルター」をカメラ(レンズ)に着ければ、明るい日中でも、動いている人や車が写らない遅いシャッター速度が実現できるのです。


「NDフィルター」は、商品写真撮影で必要とすることは極めて少ないと思いますが、店舗や会社の外観を撮影するときには、役に立つ道具だと思います。

いざというときのために、知っておいても損はないかなと思い、紹介させていただきました。


「NDフィルター」は、濃度の違いにより、何種類かありますが、photo-zemiが用意しているのは、「ND4(1/4に減光)」「ND8(1/8に減光)」「ND16(1/16に減光)」の3種です。

※数字が大きいほど、濃度が濃くなり、光の量をより減らす効果があります。

※撮影結果を見つつ、重ねて着けて、より光の量を減らすことができます。

※価格は、1枚おおよそ2,000円~3,000円程度です。WEBはもちろん、量販店のカメラコーナーでも取り扱われている、風景写真を撮影する方には、汎用的に利用されているフィルターです。

※フィルターそのものの情報ではなく、使い道としての情報発信となりますので、「NDフィルター」そのものについての詳しい情報は、申し訳ありませんが、WEB検索をご利用ください。たくさん情報があります。行き届かずにすみません。


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